先日、『マンションを売却して利益が出た場合は、確定申告が必要』というお話をした際、『もし利益が出なかった場合の確定申告は原則不要』ということも述べました。
今回は、マンション売却で利益が出なかった場合についてお話したいと思います。
損益が出た場合、控除となる条件は?
マンション売却で利益が出ることを『譲渡所得』、出ないことを『譲渡損失』と言います。
譲渡所得がある場合、確定申告は義務なので、必ず行わなくてはいけません。
もし申告を忘れてしまった場合、追徴課税のペナルティを受ける可能性があります。
一方、譲渡損失の場合の確定申告は任意ですので、申告をしなくてもペナルティが課されることはありません。
ただし、損益でも申告をすることで、税金の控除を受けられる可能性があるのです。
では、譲渡損失で控除を受けるための条件を見ていきましょう。
なお、控除は不動産の売却のみなのか、それとも買い替えなのかで条件が異なりますが、今回は売却のみの条件と譲渡損失の計算式をご紹介します。
条件
1.売却する不動産物件の所有期間が5年以上ある
2.売却の契約締結前日までの住宅ローン期間が10年以上ある
計算方法
売却した不動産物件の購入価格-(不動産購入時の諸経費+売却価格)=譲渡損失額
上記の式で計算して、仮に売却価格が住宅ローン残債を上回る場合は、損益通算や繰越控除対象の損失額に上限がかけられます。
その場合は、次の計算式で限度額を算出しましょう。
住宅ローン残債-売却価格=損益通算や繰越控除対象の損失額
マンション売却の際は、ご自身がどちらのケースに当てはまるのか、しっかり確認して譲渡損失額を計算しましょう。
詳しくは、国税庁のホームページをご覧ください。
譲渡損失の確定申告に必要な書類は?
先述の条件に当てはまる譲渡損失があった場合は、控除を受けるために確定申告を行いましょう。
その際には、以下の書類を予めご用意ください。
1.確定申告書
2.譲渡損失の金額明細書
3.譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
これらの書類を揃えたら、確定申告期間中に申請を行います。
ただし繰越控除に関しては、その他の所得との合計額が3,000万円以下となる年度だけが対象ですので、その点にご注意ください。
まとめ
確定申告の手間はかかるものの、きちんと手続きを行えば、その後のご自身の負担を軽減できるチャンスでもあります。
これからマンション売却をお考えの方は、譲渡損失が出た場合でもぜひ申告をすることをおすすめします。