
築30年超のマンション、古いだけで安く売る必要はない?国交省が始めた新たな検討と、売却前に確認したい5つのこと
2026年10月25日|RENOLAZE 不動産売買コラム
「うちのマンションは築35年。もう高く売れないのでは?」
「室内をリフォームしても、建物が古ければ評価されない?」
「同じ築年数なのに、どうして売却価格に差があるの?」
中古マンションの売却を検討する際、築年数が気になる方は少なくありません。
もちろん、築年数は不動産価格を左右する重要な要素です。しかし、同じ築年数でも、立地、管理状況、修繕履歴、資金計画などによって購入希望者の評価は変わります。
実は2026年10月、国土交通省が住宅の維持保全や中古住宅取引に関する新たな制度検討を開始しました。
今回は、この動きが何を意味するのか、そして築古マンションの売主が今から準備すべきことを解説します。
1.2026年10月、国交省が新たな検討会を開始
国土交通省は2026年10月8日、「住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」の第1回会合を開催しました。
目的は、一定の品質を備えた住宅が長く使われ、適切に維持管理され、安心して売買される市場環境を整えていくことです。
主な検討対象には、住宅の品質・性能の維持保全、既存住宅の取引環境、買主が安心して購入できる仕組みなどがあります。
ここで注意したいことがあります。
2026年10月25日現在、築古マンションの価格評価を一律に引き上げる新制度が決まったわけではありません。
今回始まったのは制度を検討するための議論です。
しかし、不動産を「築年数だけ」で判断せず、実際の品質や維持管理の状況を考えることは、すでに売主・買主双方にとって重要な視点です。
2.同じ築35年でも、売却価格に差が出るのはなぜ?
例えば、同じ駅から同程度の距離にある、築35年・70㎡のマンションが2つあるとします。
Aマンションは、長期修繕計画が整備され、修繕履歴も確認でき、管理組合が定期的に総会を開催しています。
Bマンションは、長期修繕計画が確認できず、修繕積立金の状況も分かりにくく、今後の工事予定が不透明です。
購入希望者にとって、どちらが将来の維持費や修繕リスクを判断しやすいでしょうか。
一般に、必要な管理資料を確認できる物件の方が、購入判断に必要な情報を得やすくなります。
ただし、Aマンションの方が必ず高額で売れるという意味ではありません。成約価格には立地、階数、眺望、室内状態、需給など多くの要素が影響します。
重要なのは、管理状態を説明できることが、購入希望者の不安を減らす材料になり得るという点です。
3.今すでに存在する「マンション管理計画認定制度」
実は、管理状態を評価するための制度はすでにあります。
2022年度から始まった「マンション管理計画認定制度」です。
一定の基準を満たすマンションの管理計画について、地方公共団体が認定する制度で、主に以下の内容が審査されます。
管理組合が適切に運営されているか
管理規約が整備されているか
管理費と修繕積立金が適切に管理されているか
長期修繕計画が作成・見直しされているか
必要な名簿などが整備されているか
例えば、認定基準には長期修繕計画の計画期間が30年以上であることや、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていることなどがあります。
認定されていれば、管理状況を説明する一つの客観的材料になります。
ただし、認定があるから必ず高く売れるわけでも、認定がないから管理状態が悪いわけでもありません。
大切なのは、認定の有無だけでなく、実際の管理内容を確認することです。
なお、管理計画認定制度については2027年4月1日に施行予定の見直しも公表されています。2026年10月の新たな検討会とは別の制度変更です。
4.築古マンション売却前に確認したい5つの資料
① 長期修繕計画書
まず確認したいのが、マンション全体の長期修繕計画です。
外壁、防水、配管、エレベーターなど、今後どのような工事が予定されているかを確認します。
計画が古いままになっていないかも重要です。
② 修繕積立金の残高・収支
積立金が十分にあるかどうかは、単に残高が多いか少ないかでは判断できません。
今後の工事予定額、修繕積立金の収支、借入金の有無、滞納状況などを合わせて確認する必要があります。
また、今後の積立金の値上げ予定や一時金徴収の可能性があれば、買主にも適切に説明することが大切です。
③ 大規模修繕工事の履歴
過去にいつ、どのような工事を実施したのか確認しましょう。
大規模修繕の実施年だけでなく、対象工事、追加工事の有無、今後の課題なども重要です。
「修繕済み」という言葉だけでなく、内容を示す資料があると説明しやすくなります。
④ 管理組合の総会議事録
総会議事録には、修繕計画、管理費、設備更新、管理上の問題などに関する情報が記録されています。
購入希望者が今後の負担や管理状況を理解する材料になります。
ただし、個人情報や開示範囲の制限もあるため、管理会社・管理組合が認める方法で確認・提供する必要があります。
⑤ 専有部分のリフォーム・設備交換履歴
室内についても、給湯器、キッチン、浴室、配管、内装などの交換履歴を整理しましょう。
施工時期、工事内容、保証書、施工会社などが分かると、買主が室内状態を判断しやすくなります。
ただし、リフォーム費用が売却価格にそのまま上乗せされるわけではありません。
大切なのは、高額なリフォームを急ぐことではなく、現在の状態を正確に伝えることです。
5.「築古だから安く売るしかない」と決める前に
築古マンションの売却で、私たちが重要だと考えるのは3つです。
1つ目は、立地と市場価値を正確に把握すること。
同じエリアの成約事例、競合物件、駅距離、階数、広さ、日当たりなどを比較します。
2つ目は、管理状況を把握し、説明できるようにすること。
修繕積立金、長期修繕計画、工事履歴を確認し、購入希望者の疑問に答えられるようにします。
3つ目は、売却前に本当に必要な費用を見極めること。
例えば、リフォームに300万円をかけても、必ず300万円以上高く売れるわけではありません。
販売前に改修するか、現況のまま売却するか、購入者が自分でリノベーションできる状態で販売するかを比較することが重要です。
6.管理状態が悪い場合はどうする?
すべての築古マンションが、良好な管理状態にあるとは限りません。
もし修繕積立金の不足、設備の老朽化、長期修繕計画の未整備などがある場合も、情報を隠すことは適切ではありません。
確認できている問題と、まだ調査できていない事項を分けて整理しましょう。
また、マンション全体の大規模な問題は、一人の区分所有者だけでは解決できないことがあります。
その場合には管理組合や管理会社と情報を確認し、売却条件に適切に反映することが必要です。
7.まとめ|築年数だけではなく、マンションの「中身」を見よう
2026年10月、国土交通省が住宅の維持保全と中古住宅流通に関する新たな検討を始めました。
今後、どのような制度が具体化するかは、引き続き確認が必要です。
しかし、売主様が今からできる準備は明確です。
長期修繕計画を確認する
修繕積立金の状況を把握する
工事履歴を整理する
管理組合の運営状況を確認する
室内の修繕・リフォーム履歴を準備する
築年数は変えられません。でも、そのマンションがどのように維持管理されてきたかは、きちんと伝えることができます。
RENOLAZEでは、周辺相場だけでなく、物件の特徴や管理状況も踏まえた売却方法をご提案します。
「築30年以上だけれど、適正な価格で売却したい」
「リフォームしてから売るべきか迷っている」
「管理状況が売却にどう影響するのか知りたい」
そんな方は、ぜひRENOLAZEへご相談ください。
不動産の価値を、築年数だけで決めつけない。
それが、後悔しない売却への第一歩です。
RENOLAZE(リノレイズ)
参考・出典
国土交通省「住宅の維持保全・流通に関する制度検討会」(2026年10月8日開催)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000335.html
国土交通省「マンション管理計画認定制度」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/keikakunintei.html
※本記事は2026年10月25日現在の公表資料に基づく一般的な解説です。価格、売却可能性、制度適用について個別の結果を保証するものではありません。












