
土地の境界が分からなくても売却できる?測量費用とトラブルを防ぐ5つの解決策
「親から相続した実家を売りたいけれど、隣の土地との境界が分からない」
「昔からあるブロック塀が境界だと思っていたけれど、本当に合っているの?」
「測量に100万円近くかかると言われた。そこまでして売却する必要がある?」
土地や戸建ての売却を検討している方から、このようなご相談をいただくことがあります。
特に、古い住宅地や相続した土地では、境界標が見つからなかったり、隣地所有者との認識が異なっていたりするケースがあります。
では、土地の境界が分からない場合、その不動産は売却できないのでしょうか?
結論から申し上げると、境界が確定していない土地でも売却できる場合があります。
ただし、境界が不明なまま売却すると、価格交渉や住宅ローンの審査、引渡し後のトラブルにつながる可能性があります。
今回は、土地の境界が分からない場合の売却方法、測量費用の目安、具体的な解決策を分かりやすく解説します。
1.そもそも土地の「境界」とは?
土地の境界には、大きく分けて2つの考え方があります。
① 筆界(ひっかい)
法務局に登記されている土地の区画を区切る、公法上の境界です。
筆界は、土地所有者同士の合意だけで自由に変更できるものではありません。
② 所有権界(しょゆうけんかい)
土地の所有権が及ぶ範囲を示す境界です。
筆界と所有権界が一致していることもありますが、時効取得などの事情によって異なる場合もあります。
例えば、昔からあるブロック塀を境界だと思っていても、実際の筆界は塀より数十センチ内側にある可能性があります。
そのため、塀の位置だけで土地の境界を判断するのは危険です。
2.境界が分からない土地は売却できる?
境界が確定していないからといって、法律上、土地の売却が一律に禁止されるわけではありません。
しかし、実務上は注意が必要です。
例えば、買主が住宅を建築する予定の場合、土地の正確な範囲が分からないと、建築計画や土地面積の確認に支障が出る可能性があります。
また、買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関から境界に関する資料の提出や確認を求められることもあります。
そのため、売却条件として境界の確認や測量を求められるケースがあります。
一方、境界の状況を十分に説明し、買主が理解したうえで合意できれば、現況のまま売却する選択肢もあります。
重要なのは、境界が不明であることを隠さず、契約前に買主へ正確に説明することです。
3.確定測量と現況測量は何が違う?
土地の売却を検討する際によく登場するのが、「確定測量」と「現況測量」です。
現況測量
現地にある境界標や塀、建物などの状況を基に、土地の形状や面積を測る方法です。
隣地所有者との境界確認を必ずしも伴わないため、確定測量より費用や期間を抑えられる場合があります。
ただし、現況測量だけで隣地との境界が法的に確定するわけではありません。
確定測量
一般に、隣接地の所有者などと境界を確認し、境界確認書等を取り交わす測量を指します。
土地の売却において、境界に関する不確実性を減らすために行われます。
ただし、「確定測量」は実務上の呼称であり、すべての境界問題が測量だけで解決するわけではありません。
また、隣接地が道路などの公共用地である場合には、行政との境界確認が必要になることもあります。
4.土地の測量にはいくらかかる?
測量費用は、土地の面積、形状、隣接地の数、境界標の有無、過去の測量資料、公共用地との境界確認の必要性などによって変わります。
一般的な住宅地を想定した概算の予算例は、次のとおりです。
| 測量の種類・状況 | 概算費用 |
|---|---|
| 現況測量 | 10万〜30万円程度 |
| 比較的条件の良い確定測量 | 35万〜60万円程度 |
| 公共用地との境界確認を伴う測量 | 50万〜100万円程度 |
| 境界トラブル・複雑な権利関係がある場合 | 100万円超となる場合も |
※上記は費用感を把握するための参考例であり、確定した相場や見積金額ではありません。土地家屋調査士への個別見積もりが必要です。
例えば、土地を4,000万円で売却する予定なのに、測量費用が80万円かかるとしたら、売主としては負担が大きく感じられるかもしれません。
しかし、境界が不明なために買主が購入を見送ったり、大幅な価格交渉を受けたりする可能性もあります。
測量費用だけを見るのではなく、売却価格・売却期間・トラブル防止効果を総合的に比較することが大切です。
5.境界が分からない場合の5つの解決策
解決策① 法務局で過去の資料を確認する
最初に行いたいのは、法務局で土地に関する資料を確認することです。
代表的な資料には、登記事項証明書、公図、地積測量図などがあります。
過去の地積測量図が残っていれば、境界標の位置や土地の形状を確認する手掛かりになります。
ただし、古い資料では現地の状況と一致しない場合もあるため、資料だけで境界を断定しないことが重要です。
解決策② 土地家屋調査士に相談する
境界が不明な場合、専門家である土地家屋調査士への相談が有効です。
土地家屋調査士は、登記資料や現地の状況を調査し、必要に応じて測量や隣地所有者との境界確認を進めます。
測量を依頼する前に、売却目的であることを伝え、必要な作業範囲と費用を確認しましょう。
解決策③ 隣地所有者と境界確認を行う
境界に関する問題を解決するには、隣地所有者との協力が重要になる場合があります。
例えば、昔から設置されている塀の位置について、双方の認識が異なることがあります。
このような場合、土地家屋調査士に間に入ってもらい、資料と測量結果を基に確認を進める方法があります。
感情的な対立を避けるためにも、専門家を交えて冷静に話し合うことをおすすめします。
解決策④ 境界未確定のまま売却する
確定測量が難しい場合、買主に状況を説明したうえで、境界未確定の状態で売却する方法もあります。
例えば、建物の解体や再開発を予定する事業者、不動産買取会社などが、境界リスクを考慮した価格で購入を検討する場合があります。
ただし、必ず買い取ってもらえるわけではありません。
また、売買契約書には、境界の確認状況、売主・買主の責任範囲、引渡し条件などを明確に記載する必要があります。
「現況有姿で売る」と記載するだけで、すべての責任が免除されるわけではない点にも注意してください。
解決策⑤ 筆界特定制度などを利用する
隣地所有者との話し合いで筆界を確認できない場合、法務局の「筆界特定制度」を利用する方法があります。
筆界特定制度は、筆界特定登記官が、土地の筆界の位置を特定する制度です。
ただし、所有権の範囲そのものを確定する制度ではありません。
所有権界の争いや境界を巡る紛争がある場合には、弁護士への相談や裁判手続きが必要になることもあります。
6.実際にありそうなケースで考えてみましょう
例えば、次のようなケースです。
【相談例】相続した実家を売却したいAさん
所在地:東京都内
土地面積:120㎡
売却希望価格:4,500万円
築45年の戸建てあり
境界標の一部が見つからない
隣地所有者とは長年交流がない
Aさんは、売却前に測量が必要だと言われ、費用が心配になっています。
この場合、私たちなら次の順序で検討します。
まず、法務局の資料を確認し、過去の測量図があるか調査します。
次に、土地家屋調査士へ現地確認と見積もりを依頼します。
そのうえで、境界確認を行って一般市場で売却する場合と、境界未確定の状態で買取業者へ売却する場合を比較します。
仮に、次のような条件だったとします。
| 売却方法 | 売却価格 | 測量費用 | 差引額 |
|---|---|---|---|
| 確定測量後に売却 | 4,500万円 | 60万円 | 4,440万円 |
| 境界未確定で売却 | 4,200万円 | 0円 | 4,200万円 |
| 差額 | 240万円 |
※金額は説明用の架空事例です。仲介手数料、解体費、譲渡所得税、その他の費用は含んでいません。
この例では、測量を行ってから売却した方が240万円多く残る計算になります。
ただし、測量に長期間を要する場合や、隣地所有者との境界確認が難航する場合には、売却までの期間や費用が増える可能性があります。
「測量して高く売るか」「現況のまま早く売るか」は、売主の希望と物件の状況によって判断することが重要です。
7.売却前に確認しておきたいチェックポイント
土地や戸建てを売却する前に、次の点を確認しておきましょう。
・境界標がすべて確認できるか
・過去の地積測量図や境界確認書が残っているか
・登記簿の面積と現況に大きな違いがないか
・ブロック塀や屋根などの越境がないか
・隣地所有者との間で境界に関する争いがないか
・測量に必要な期間と費用を把握しているか
・境界未確定のまま売却する場合の条件を確認しているか
すべてを売主自身で調べる必要はありません。
まずは不動産会社や土地家屋調査士に相談し、必要な調査を整理することをおすすめします。
8.RENOLAZEが考える、土地売却で大切なこと
土地の売却では、境界や測量の問題によって、売却活動が思うように進まないケースがあります。
しかし、境界が分からないからといって、すぐに売却を諦める必要はありません。
大切なのは、現在の状況を正確に把握し、売主にとって最も納得できる方法を選ぶことです。
例えば、測量を行って一般の買主へ売却する方法もあれば、境界未確定のまま買取業者へ売却する方法もあります。
売却価格だけでなく、測量費用、売却までの期間、将来のトラブルリスクまで考えることが重要です。
「境界が分からない土地」でも、解決の選択肢はあります。
RENOLAZEでは、土地や戸建ての売却に関するお悩みをお伺いし、物件の状況に応じた売却方法をご提案しています。
測量や登記に関する専門的な確認が必要な場合には、土地家屋調査士などの専門家と連携して対応を検討します。
まとめ|境界が不明な土地は、売却前の準備が重要
土地の境界が分からない場合でも、売却できる可能性はあります。
ただし、境界を確認しないまま売却すると、価格交渉や引渡し後のトラブルにつながることがあります。
そのため、まずは法務局の資料を確認し、必要に応じて土地家屋調査士に相談することが大切です。
土地売却で重要なのは、問題がないことではなく、問題を把握し、適切に解決することです。
相続した実家、古い戸建て、境界が分からない土地の売却でお悩みの方は、RENOLAZEへお気軽にご相談ください。
株式会社RENOLAZE(リノレイズ)
不動産売買の悩みを、安心と納得に変える。
※本記事は2026年10月時点の一般的な法制度・不動産実務に基づく解説です。具体的な境界判断、測量費用、契約条件等は個別の状況によって異なります。












