新築の注文住宅を購入するときには、一般的に工期や引き渡し日はあらかじめ決まっており、買主は引き渡し日に合わせて転居できるように準備をおこないます。
しかし、なかには工事遅延やトラブルなどにより、引き渡し日が遅延してしまうというケースも少なくありません。
そこで今回は、不動産購入を検討する方に向けて、物件の引き渡し日が遅延した場合の責任の所在や、損害金に関する対処法をご紹介します。
不動産購入時に引き渡し日の遅延が発生!責任は誰がとる?
一般的に、購入した不動産の引き渡し日は契約書に具体的に明記されます。
注文住宅であれば工事請負契約書に、購入した場合は売買契約書にそれぞれ記載されるため、なにかあったときは必ず契約書を参照しましょう。
契約書に記載された引き渡し日に間に合わない場合、ケースによっては契約違反にあたる可能性があります。
そのため売主や施工会社から引き渡しの遅延を打診された場合には、必ずその理由と、可能であれば遅延する期間について明らかにしておきましょう。
この際、施工会社によって遅延が発生しており、またその理由が正当でない場合、責任は施工会社が負うこととなります。
正当な理由には台風や地震の自然災害などが該当し、単なる人手不足や現場での事故などは正当な理由とはいえません。
責任の所在をはっきりさせるためにも、疑問点や不明点はきちんと理解できるまで確認をとり、遅延の発生に正当な理由があるのかどうか明らかにしましょう。
不動産購入時に引き渡し日の遅延が発生!遅延損害金の計算方法をご紹介
施工会社に責任のある引き渡し日の遅延については、施主は受けた損害分の金額について賠償請求することが可能です。
その具体的な計算方法についてはケースごとに異なり、次のように算出します。
契約書に計算方法が定められている場合
施工会社によっては、工事請負契約書に遅延損害金の計算方法が定められている場合があるため、しっかりと確認することをおすすめします。
明記されている場合は、施工業者に請求を口頭で依頼するか、もしくは請求額や理由を記載した請求書を作成し、紙面で請求できます。
契約書に計算方法が定められていない場合
契約書に損害金について記載がない場合は、施主がみずから実際の損害額を計算して請求する必要があります。
引っ越しに関する費用や住宅ローンの負担、各種手数料など、遅延によって発生する費用について計算し、請求します。
目安となる計算方法
建築に関わる複数の団体によって作成された「民間連合協定工事請負契約約款」と呼ばれる約款では、一般的な遅延損害金の計算方法を次のように定めています。
請負代金×10%×遅滞日数/365日
たとえば、請負代金が2,000万円、遅延日数が30日の場合、おおよそ16万4千円という遅延損害金になります。